2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
瀬戸内海の大島の自家製石窯パン
松山市から車で約1時間弱、今治市から尾道市へ通じる「しまなみ海道」がある。今治から最初の橋・来島海峡大橋を渡ると、大島(吉海町・宮窪町)に着く。
大島吉海町にある天然酵母パンの店「Paysan(ペイザン)」は、毎週木・土曜日(11~17時)の営業。求 光章さんとゆう子さん夫妻でされており、オープン時に並ぶパンと予約のパンのみとなっている。
店から少し離れた所に車を止め、看板を頼りに歩いて向かう。
店へと導いてくれるかわいらしい倉庫やガーデニングは、ゆう子さんの趣味だとか。「お店にたどり着くまでのワクワク感も、楽しんでいただけたら…」と言われた光章さんからは、お客様をうれしそうに待っている様子が伺えた。
11時オープン前に、パンが運ばれるのを今か今かと待つ客。そして開店と同時にパンが続々と運ばれると、店内は一気に活気に満ちあふれる。トレーいっぱいに買われる方が多く、市県外からの客も増えたそうだ。
店定番のハード系、菓子パン、ベーグル等…木箱に並べられた愛らしいパンの数々。40~50種類のパンの中から、季節ごとに色々な種類が楽しめる。
「子どもに食べさせる安全なパンを」というシンプルな気持ちから選ばれた無添加・有機栽培の素材。そしてオーガニックレーズンから起こした自家製天然酵母を使用、石窯で焼き上げるパンは噛む程に味わいが広がりる。素材の味を大切にされていて、素材そのものを味わうことが出来る。
「山に囲まれ海の見える自然いっぱいの暮らしがしたい。」二人の夢である自給自足の田舎暮らしへの想いは、大島に移住された12年ほど前からスタート。胸を膨らませてきた田舎暮らしは想像以上に厳しいこともある中、近所の優しさや素敵な景色にこころを和まされたそうだ。
「島暮らしで家族を食べさせていくため」というシンプルなところから始まったパン作りは、数年前に友人のパン屋で得た技術を基本に試行錯誤の中、今のPaysanのパンが生まれた。Paysanとはフランス語で「農夫」という意味があり、夫婦の想いが伝わってくる。
レンガ窯で焼かれたパンは、何とも言えない食感としっとり感、そして香ばしさを生み出すそうだ。このレンガ窯も光章さんが、独学で10ヶ月かけて造られた。(写真は頂きました)
1週間のうち2日間は仕込み、2日間が焼きに費やされる。手作りのレンガ窯は薪で暖め時間がかかる為、未明からの作業。「これ以上忙しくなったら、田舎暮らしている意味がわからないですね(笑)」と言われながらも、そこにはパンに対する妥協しない意志の強さと想いが伝わってくる。
木々や山を眺めながら併設されたカフェで、ゆっくりすることも出来る。素朴の中に可愛らしさのある店舗は木のぬくもりを感じ、自然豊かな大島に溶け込むように優しい風が通りぬける。
「せっかく橋を渡って来てもらうので、ゆっくりして頂けたら…」と、メッセージを頂いた。
Paysanのパンと店には、夫婦が二人三脚で築かれた12年間が凝縮されているかのよう。美味しいパンを味わえるだけでなく、パンを買いに行く楽しみまでも味わえる、素敵な島のパン屋である。
今回は瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクトサポーター湊と、取材・記事作成を行い紹介させていただいた。
【Paysan(ペイザン)】
住所:愛媛県今治市吉海町本庄477
電話番号:0897-84-4016
営業時間:11~17時(売れ切れ次第閉店)
営業日:木・土曜日
PaysanHP:http://www.q-paysan.com/
【Paysan 併設カフェ】
営業時間:12~17時
営業日:木・土曜日
席数:店内18席・テラス6席