2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
針金から生まれる手作りの味。
今年4月頃、松山市のあるイベントで出会った「針金工房 吐麗美庵(とれびあん)」の横山さんの針金細工。
実はこのイベントより数年前に、私は横山さんの作品をマイントピア別子で購入したのが最初の出会いでした。一目で気に入り購入した作品は、蚊取り線香。横山さんは通常マイントピア別子で販売されていますが、様々なイベントなどに参加され松山市に今回来られました。
25年以上前、新居浜から東京に出られ独学で学ばれた針金細工。東京原宿や表参道の路上で売られ、車の移動販売もされていたそうです。元々は古物商をされており、針金細工をしながらの生活。最初の作品は、自転車でした。
「自分が作る作品が喜んでもらえることがうれしく、また手作りだからこそ安くできる。昔からの玩具を今に再現したい!」その想いもあり、子どもが買うことが出来るようなお値段にされているそうです。
手の器用な横山さんが巧みに操る道具はこの一本。
そして針金は作る用途により違い、ステンレス線や銅線からアメリカのアーティスティックワイヤーまで多種多様です。アーティスティックワイヤーとは、Artistic wire社の製品名で半永久的に変色褪色しないカラーの銅線ワイヤーです。
家庭の事情で東京から戻られ、マイントピア別子で販売されるようになり銅線を使い始められました。
そうこちらのマイントピア別子と、銅は切っても切れない仲。マイントピア別子といえば、新居浜市の山麓部にあった銅山「別子銅山」の施設跡などを使用したテーマパークです。別子銅山は、1691年に開坑し1973年まで稼働してきた銅山で、日本三大銅山の一つでもあり約280年間に総産出量70万tにも及びます。
旧別子の登山道で多くある「鍰(からみ)」は、鉱滓(こうさい)・スラグとも言われます。銅鉱石の製錬時に出る銅以外の不純物、つまりカスで鉄分を多く含んでいます。
こちらの銅鉱石を使った作品「銅鉱石をヨイショくん」は、とっても人気があります。
お客様が選んだ石で、その形に合うように石の台を製作。
「玄関先に飾ろう♪」と、うれしそうにお客様。5分程の製作時間でその場で作ってくれる、これってうれしいですよね。
渋い仕上がりになる古美仕上げは、硫黄成分につけて黒くし削っていきます。
石に磁石が付いている!!なぜだか不思議な気がしました。
一つひとつが手作りのため形も大きさも少しずつ違う、そこが手作りの味です。
大量生産は出来ないけど、手作りの味を感じてほしいと言われていました。作品のことを話されている横山さんは、夢であふれている目をされていました。何かを造る人の目、まさにプロの目でした。
「立てばしやく薬、座ればボタン、歩く姿は百合の花」と、美人の形容として使われるしゃく薬。ちょうど今頃見ごろでしょうか。しゃく薬園では、約12000本の大輪のしゃく薬が見られます。