2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
北条鹿島まつり「大注連縄張の張替え」
松山市北条の「北条鹿島まつり」の最終日4日は、鹿島の南西沖・斎灘約600mに浮かぶ「玉理(ぎょくり)」と「寒戸(かんど)」の岩に大注連縄張り替えを行います。この大注連縄の張り替えの歴史は古く、河野通信氏が源平合戦の屋島の戦いに源氏側として臨んだ時に、大注連縄を張って龍神社に戦勝祈願をしたという言われがあります。1957年に復活、今は海上安全・五穀豊穣・大漁を祈願して行われています。河野通信氏は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての伊予国の武将です。
大注連縄は鹿島渡船場の大鳥居前で、北条分団の方を中心に7地区から各3名出られ約70名により作られます。この大注連縄作りは見るだけではなく参加でき、消防団員の方が丁寧に教えて下さるので安心です。
1本約55mの縄19本を、稲の穂でつなげていきます。“松山三井”という稲の種類で、愛媛県では1953年から作られており、米の粒が大きいのが特徴ですが現在では作られている方が少ないです。しかし松山三井の稲穂は長く丈夫で切れにくいということから、大しめ縄作りには向いているようです。
稲の穂の下を縛り、穂の2本を上下交互に縄に通してつなげていきます。穂は水で軽く濡らされていることで切れにくくなるのが、コツがいるためなかなか難しいようです。
最後の“ねじり”はかなり難しく、穂1本ずつをねじりながら2本をねじるのですが、1本ずつねじってないと戻ってしまいます。慣れた手付きの消防団員ですが、最初の頃は失敗したと話されていました。これもまた伝承されていく技なのでしょう。
19本をつなげた縄の中に、漁師が使用する網を入れます。みなさん「あんこ」と呼んでいました。海風に1年さらされるしめ縄は”ボロボロ”になってしまうので、これを入れることで丈夫になるそうです。
その網の間に入れるのは、願い文。この願い文は、願い文ポストを北条駅・鹿島渡船乗り場・鹿島の3箇所に常時設置。また北条に来られない方用に、郵送も受け付けています。(〒799-2430 愛媛県松山市北条辻6番地)約1400通の願い文が消防団員などの手によって入れられます。
鹿島祭り2日間も受付ており、来られた方は願い事を書くこともできます。
そしてねじった穂の先を使って、縄を丸く仕上げていきます。この作業を繰り返し、3本の縄が出来ます。
これを1本ずつ地面の上で転がし
3本を編んでいきます。どこに力を入れて行くのか、それは長年の感と技なのでしょう。
長さ約42m、直径約40cm、重さ約1トンの大しめ縄が完成。動画でも見れます。
これは吊るす時に引っ掛ける釘を、5本付けていきます。
そこに取り付ける房飾りの「シデ縄」も一緒に作ることが出来ます。
地元の方が、「こうやってなぁ、こっちに引っ張るんよ。」と教えてくれます。コツは、斜めに引っ張ることであるが、けっこう力がいります。
そして編んだ縄に房飾りを付けていきます。このふっくら感が大切で、華やかになります。
出来あがった大しめ縄は、鹿島に運ばれます。約42mの長さの大しめ縄は、ともて重く船の中でぐるぐる巻きに。
鹿島に着いた大しめ縄は、龍神社に運ばれ祭典があります。
そして鹿島沖の玉理と寒戸に運ばれます。三重県二見夫婦岩に似ていることから「伊予二見」や「夫婦岩」とも言われ、岩の間は約33m。この夫婦岩にある竜神社は、勢力を取り戻した河野氏が鹿島に城を築き拠点を海にし、もう一度祖神(龍神社)を復活させるためにこの夫婦岩に祀ったということです。
大しめ縄が玉理に引き揚げられます。
ワイヤ伝いに大しめ縄を張り渡し始めます。
例年は下から付けるところ今年は引潮とならず、上から付けるという至難の業。
房飾りの「シデ縄」も付けられ、完成!1年間、海上安全・五穀豊穣・大漁と皆さんの願いを見守ってくれます。
この張り替えの様子を間近で見ることができる「お供船」も運航。
大しめ縄作りは誰でも参加できるので、ぜひ来年は皆さんも来て参加して見て頂きたい!と関係者からひと言。関係者の皆様のお陰で、1年の海上安全・五穀豊穣・大漁が守られています。
【大しめ縄】
9~11時:大しめ縄作り鹿島(場所:渡船場大鳥居前)
11時半~12時:大しめ縄搬送(場所:渡船場から鹿島へ)
13~14時半:お供船鹿島(場所:桟橋から乗船)
13時10分~14時半:大しめ縄張り替え鹿島海上(場所:玉理・寒戸)
北条商工会HP:http://www.hojo-sci.jp/event_kasima.html
櫂練練り踊りのレポートはこちら:http://ritoumeguri.com/6962/