2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
ホタルの幼虫を放流。幻想的な光の世界を楽しみに・・・
5月下旬から6月下旬に、幻想的な光の夜を楽しませてくれるホタル。皆さんも一度は見に行かれたことでしょう。
松山市では、約12地域で多くのホタルを観賞できます。
その多くは、地域の人や子どもたちの手によって育成され放流されています。旧北条市の風早ほたる育成会の方と地元の正岡小学校3年生による「ホタルの幼虫の放流会」が、2012年8月と11月に行われ最終の3回目。
風早ほたる育成会では、1989年からホタルの幼虫を放流されています。初代会長が「もう1度、門前堀(もんじょぼり)にホタルの光を取り戻そう!」という願いを込めてホタルの里造りを始められました。また地元の正岡小学校3年生とたかなわ幼稚園、地域のみなさんと共に人工養殖に取り組んでいます。
日本に住む約30種のホタルのうち約10種が光り、ゲンジボタルとへイケボタルが代表的です。ゲンジボタルは体長12~18mmの日本最大のホタルで、ヘイケボタルは体長7~10mmで水田や用水路などに住んでいます。幼虫の頃の水中生活約9ヵ月は、「カワニナ」を食べて大きくなります。口から消火液を出しカワニナを溶かし、カワニナの殻に入り込みそこで生活します。反対に成虫になると夜露の水だけを飲みます。幼虫時代に食べたカワニナの栄養分だけで生き続け、その栄養分が消化しきると寿命がつきます。またオスはメスよりも体が小さく、蓄えも少ないためメスよりも早く寿命を迎えます。
人工養殖は5~6月仁に、水ゴケを敷いた産卵箱に捕獲したホタルの成虫を入れます。メス2~3匹ぐらいに対して、オスが10匹ぐらいです。オスとメスとの違いは、オスは腹部第6・7節が光り、メスは腹部の第6節が光ります。1分間に約80回も発光し、オスの方が強い光です。水ゴケにメスが約500~1000位(1匹当り)卵を産みます。【写真提供:英風会(ほたる育成会)】
7月になると卵から幼虫にかえり、水の中での生活が始まります。育成にあたり1週間~10日間に一回の水の交換やカワニナの補充、また水温を約25度・湿度は約80%に保つなど世話が必要となります。しかし手をかけて育てても、数割しか放流できないそうです。まして自然界では数%といわれ、ゲリラ豪雨など昔と環境も変わり自然の力だけでは難しいのが現実です。幼虫は3対の足と8対のえらをもっていて、頭部・胸部・腹部からなっています。背中に黒色の丸い独特の模様が見られます。
今回の放流には、正岡小学校3年生の生徒と育成会メンバーが育ててきたホタルの幼虫を放流しました。毎日お世話をしてきたホタルの幼虫を放流する時、きっと「大きくなってね」という気持ちで送りだしたのでしょう。
5月下旬〜6月頃に、ホタルの郷(院内川)で見られます。
約1週間ホタルの郷(約600m)は、19~21時まで歩行者道路になり多くの観賞者で賑わうそうです。
暗闇の中、黄金色の小さな光が舞い、私たち幻想の世界へ導いてくれます。その世界を壊すことなく、守り続けて行く地元の方々。きれいな流れのある川に住んでいるホタルを守るには、きれいな川を保つことが大切です。これからのホタルを守っていくためにも、みなさんの一人ひとりの気持ちで変わるものです。放流されたホタルの幼虫や自然界で育ったホタルの幼虫たち、元気に大きくなりますように・・・
英風会HP:http://www.eifukai.com/hotaru/index.html
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