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2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。

|その他

紙箱作り90年の歴史を受け継ぐ紙加工技術を使ったパッケージで新しい提案

おせち料理2 

田村社長は、昭和28年(1953)に愛媛県で生まれ、昭和51年(1976)に広島大学を卒業して松山市役所に入社。以降、農林水産課、年金課、監査委員事務局等を経験し、平成2年(1990)に退職。それは、義父の急逝により紙器製造会社4代目を継いだ義兄を補佐するためであった。妻の明美専務(創業者の曾孫にあたる)とは、昭和57年(1982)に結婚している。
入社後は現場で技術や知識を学び後に総務部の責任者となる。やがて、経営方針をめぐって義兄と意見が対立し、平成9年(1997)退職を余儀なくされた。その後、就職するも4回転職を繰り返し、病院の事務局長に落ち着く。

平成14年(2002)1月創業90年の家業が倒産、負債総額約17億円であった。
倒産当時、中高年のベテラン職人達がもっと仕事を続けたいという声を聞き、その技術とその意欲が消えてしまうのはもったいないと、倒産から1年後TAMUを創業した。50歳の田村社長とベテラン職人4人、明美専務のたった6人の船出であった。これは、中高年(ベテラン職人)の就職が厳しい事を、転職を繰り返した自分の姿に職人の姿が重なったのかもしれない。

社長 

再出発の最初の業務はこれまでのお得意先への謝罪と創業の案内であった。迷惑をかけたお得意様は理解してくれる所も多かったが、ほとんどのところは別の取引先とすでに業務を開始していた。その結果、新会社は新しい取引先を見つけねばならなくなり、営業を主に担ってきた明美専務は既存の取引先に加え、県内外に新規顧客開拓をしていったのである。現在は売上の約半分は県外との取引が占めている。

そしていよいよ「紙ダル」の開発に取り組んでいくことになる。当初は中古の加工機械が1台しかなく経営的にも厳しいなか熟練の職人たちの研究の末、3ヶ月後に製品化のメドがたったが、まだコスト的に厳しいものがあった。それから、さらに研究を進めていくうちに専用の機械を開発することでコスト面でもクリアできたのは、創業から10ヶ月後であった。
創業から9年目の2012年、従業員も17名にまで増え、ますます紙へのこだわりを環境問題と上手く調和しながら、クライアントの微細な要望にも答えることで製品化したTAMUの一つの解答「紙ダル」は、田村社長の真摯で信用を重んじてきた人柄、熟練した職人の技と既成にとらわれない柔軟な創造性、そして営業拡大に励んだ明美専務の行動力、すべて上手く噛み合うことで完成した総合力の賜物と言っても良いであろう。

田村専務 

おせち料理3 

「紙ダル」
ここでTAMUの代名詞とも言う「紙ダル」とはどのようなものなのか、今までの紙製品とは、使い捨てか、リサイクルつまり使用した後は分別ゴミとして処分するというのが主流であった。
TAMUはリサイクルの前にリユースにチカラを入れようと考えたのである。リユースとは一度使用したものを再利用しようとするもので、その為には最初の製品化の段階から強固なものであり、デザインや色彩を調整し、最後のリサイクルでは分解しやすいものにしなければならない。強固なものでありながら分解しやすいもの、このある意味矛盾する課題に挑戦したのである。
その方法とはどのようなものであろうか、

工場内風景1 

ほとんどの紙には製造工程で紙の繊維が一定の方向に送り出されるための「目」という維質の向きがある。それは、向きと同じ平行方向には強度が弱く、垂直方向には強い。すなわち、紙目に沿ってチカラが加わると破れやすく、垂直方向からだと破れにくいという性質を利用したのである。
つまり、2枚の紙を紙目が交差するように貼りあわせて強度を高め、さらに、円筒状になった側面の上下の縁を丸くカール加工することで縁に加わる圧力を分散させることで、今までに無い強度を作り上げた。その発想は非常に単純であったが、実際には、製造工程中に紙が湿度によって変形するので製作時の季節や天候を考慮し、ミリ単位で微調整を加える必要があった。
その結果、「紙ダル」正円形高さ47㎜の製品の場合、 強度テストで圧縮降状荷重331㎏、底抜けテストで圧縮降状荷重51㎏、冷却テストで−40°で1週間、(いずれも愛媛県産業技術研究所の試験結果)という驚異的な数値をだすことに成功したのである。

籠式容器 

おせち料理1 

賞歴
made in 四国の環境配慮製品認定 経済産業省 四国経済産業局
2004年度愛媛県認定優良リサイクル製品認定「紙ダル」
2007年度松山ブランド新製品コンテスト工業製品部門優秀賞「和樽」を使った紙製おせち容器
2008年度グッドデザイン・中小企業庁長官賞 紙製ゴミ箱 「トラッシュポット」
2009年度元気なモノ作り中小企業300社「キラリと光るモノ作り小規模企業」部門 選定
えひめが誇るスゴ技 133選に選定
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

何処で使われているのか
四季彩「ゆめの野」     http://www.yumenono.com/
ケーキハウス「ツマガリ」     http://www.tsumagari.co.jp/
太陽と宇和海の恵み「みさき果樹園」     http://www.misaki-kajuen.com/
近商物産     http://www.kinsyou.co.jp
a++ assist on      http://www.assiston.co.jp/?item=1041
福屋百貨店「おせち容器」     http://www.fukuya-dept.co.jp/
果山「ボックス」     http://www.fruit-kazan.com/index-1.htm

【株式会社TAMU】
住所:愛媛県松山市恵原町甲1371
電話番号:089-961-1514
株式会社TAMUのHP:http://tamunohako.com/


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