2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
家庭の温もりを…「民宿片山」
高浜港からフェリーで10分ほどの興居島(ごごしま)、港と反対の西側に鷲ヶ巣(わしがす)という湾があり、夏は海水浴場として賑わいます。湾の傍らにある民宿片山は、1977年から営業を続ける島で唯一の通年営業の宿です。
宿主の片山文夫さんは1946年興居島で生まれ、以来この地で暮らしています。90歳を越える母・八重子さんが海の家を営み、人のすすめで民宿をはじめると片山さんも手伝い出しました。それから30数余年、今は文夫さんが一人で担います。
夕食には島の海産物を使った料理が提供されます。煮付けはメバルかカサゴ、刺身はタコかイカが定番で、魚介類はすべて目の前の湾内で片山さんが自ら調達します。その日の食材は旬のムラサキウニ・小ぶりのナマコ・サザエ・生きたタコ・アオリイカなどで、島の「あたりまえ」の豊かさに驚かされます。
サザエは塩茹で、メバルは煮付けと調理のシンプルなのが海辺らしさを感じさせます。茹でて洗うと透き通って光るナマコは、大きなカボス丸1個分を素手で絞り入れ大根おろしで和えます。そして山吹色のウニ、まな板に張り付くタコの脚がお造りにされ、島の恵みの1つ1つが片山さんの手で一皿一皿に変えられていきます。厚切りのさつま芋・金時人参・タコの天ぷらが出来上がると、膳に家庭の温もりが加わります。
もの静かでとつとつと話す文夫さんですが、ふと見せる笑顔に優しさがにじみ出ます。自然豊かな島の景色を見て育った島人ならではの雰囲気は、一緒にいるといつの間にか肩の力が抜けて行くような感じさえします。「島が好き」それが文夫さんの心髄であり、だからこそ島と共に生活をされているのだと・・・1つの宿がそこにあること、あり続けること。こたつとストーブの上のやかん、傍らのテレビがまた冬に迎えてくれるでしょう。
【民宿片山】
住所:愛媛県松山市由良町330-4
電話・FAX:089-961-2930
営業:通年
料金:素泊まり2.000円(税込)、1泊2食付き 6.000円(税込)(食事付きの場合は要予約。1週間前まで)
その他:※泊港、由良港からともに徒歩約30分。4〜5人なら送迎可能。
※食事付きの場合は要予約。1週間前まで
※海の家は7月中旬〜8月末までの営業。タコめし、鯛めし(汁もの付 各600円)、貸しボートあり
※紹介した民宿の夕食と同様のメニューを昼食で提供の場合3,000円(税込)
3名~5名、要予約、1週間前まで
※島へのアクセス:http://home.e-catv.ne.jp/kofuji-kisen/