2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
高校生の熱き戦いが繰り広げられた1日
ご当地グルメ活動校が愛媛県に集結した「第3回ご当地グルメ甲子園in八幡浜」は、2015年2月11日に道の駅みなとオアシス 八幡浜みなっとで開催され、熱い戦いが繰り広げられました。松山市3校、愛媛県内10校、秋田県から宮崎県までの県外12校の合計25校が参加。会場ではやわたはま産業まつりが同時開催され、高校生のグルメを味わいながら八幡浜の特産品を買い求める多くの人で賑わっていました。
八幡浜港にある会場では潮風の香りに負けず、美味しそうな匂いが会場を包み盛り上げます。第3回目の今回は、野外・対面販売・コンテスト形式の高校生グルメイベントとしては過去最大級であり、高校生の熱も高まっていました。
松山市から出場した松山南高等学校の「鯛まん」は、皮の柔らかさにこだわり生地にはだか麦を使用し、鯛の風味をしっかり味わって頂こうと鯛の切身をそのまま入れたもの。試行錯誤を重ねて出来た鯛まんは、オリジナルデザイン「鯛ちゃん、まんくん」袋に入れて熱々を味わってもらいます。「最初は皮が固くて食べれたもんじゃなかった。薄力粉と強力粉の微妙な量を変えていくことで、やわらかくふわっとした、そして中の鯛の味を活かせれるようにしました。」とその想いを語ってくれました。
また愛媛県立北条高等学校の「じゃろっけ」は、じゃが芋のマッシュポテトにパン粉ではなく地元のじゃこ天のすり身え包み揚げたもの。裏方では一生懸命、じゃこ天のすり身をつけていました。
松山市からもう1校、河原高等専修学校から「じゃこめまき」を出品。宇和島のじゃこ天の中にちりめんご飯・生姜ご飯・お粥が入ってこんがり揚げて、主食とおかずが一口で味わえます。
愛媛県からは愛媛県立宇和島高校の「ブラッドオレンジクッキー」は、宇和島市の特産品ブラッドオレンジのコクのある甘さや香りなどをクッキーにたくし、アントシアニン豊富で食べて元気になれる嬉しいお菓子。
愛媛県立三崎高等学校の「金太郎もち」は、実際にその場で餅つきを行い「ホクホク」を頂けるおもてなし。伊方町特産の瀬戸金太郎芋ともち米を一緒につき、中には角切りのさつま芋とこしあんがたっぷり。金太郎芋の甘みとホクホク感に、ほっぺたが落ちそうな笑顔の購入者でした。
県外からは、愛媛県ではなかなか見かけない食材を使ったメニューを出品し、来場者を楽しませていました。
そのうちの1つ、兵庫県立社高等学校の「三草茶うどん」は、地元小学生が育てた地元茶を使い優しい茶葉色の麺の上には、粘り気のある地元山の芋を乗せています。お茶の香りがしっかりと楽しめ、地域おこしの想いがこもっていました。
また会場を香ばしい匂いで包み込む和歌山県立神島高等学校の「梅やきとり」は、梅干し加工中に出る現在廃棄処分する「梅酢」を活用しており、食品の有効活用を重視。
地元和菓子店と共同開発した大分県立津久見高等学校の「もじゃすけ」は、既存の津久見伝統和菓子「ふくさ」をリニュアル。高校生らしい可愛いデザインに仕上げ、子どもたちが興味津々の眼差しで購入していました。
審査員は、おいしさ・独創性・ご当地性・接客・将来性の5項目で評価を行います。それに来場者(購入者)による人気投票を足して、最終的に各賞を決定。
全国から集まった25校の25品。そして結果は・・・
学校法人綾羽高等学校の「近江3貫盛り」が優勝しました!滋賀県の特産品である近江牛・赤コンニャク・丁字麩の素材本来の味や食感を活かした握り寿司。
準優勝は秋田県立秋田北鷹高等学校の「北秋田の鶏カレーコロッケ」、第3位に愛媛県立大洲農業高校の「ちゃんぽんコロッケ」、そしてあじわい賞やご当地賞など様々な賞を頂いた高校生たち。
グルメ甲子園の話しが愛媛県から学校側に届いた時、きっと高校生たちは嬉しさと楽しさでいっぱいだったことでしょう。しかしメニューを考え、思い通りの味や形にならずに試行錯誤を重ねる日々・・・その中でようやく出来た商品を販売するにあたり、数多くのお客様を相手にどのように自分たちの商品をPRできるのか、気持ちよく購入していただくにはどうすればいいのか、など体験することで得た喜びや楽しさまた改善点など多くあったと思います。そして一般の方や審査員による審査の結果、悔しい思いをした人もいたのではないでしょうか。しかしこのグルメ甲子園は決してグルメを競い合うためだけにあるわけではなく、未来を担う高校生たちに地元の食材を知ってもらい、商品の開発・仕入れ・製造・販売を経験し、そこから何か学んで欲しいという思いで愛媛県が取り組んでいます。
審査員の1人である料理研究家・食育アドバイザーの中村和憲氏は、「グルメの背景にあるストーリーが大切です。地元を盛り上げようとする高校生たちの姿に感動を覚え、未来への期待に胸を膨みますね。」と言われていました。高校生たちの真剣な顔と笑顔は、きっと多くの人に届いたことでしょう。
このご当地グルメ甲子園は愛媛県が特定非営利活動法人 eワーク愛媛に委託した事業であり、第1・2回は松山市のひめぎんホール県民広場にて開催し、第3回の今年は八幡浜を会場に行いました。
えひめのご当地グルメGuide:http://coodo.jp/