2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
東京のビル屋上で育った松山産ライム収穫祭
松山市では、他の産地に見られないほど多くの柑橘を栽培しており、9月下旬から10月下旬は中でも島しょ部を中心に瀬戸内の温暖な気候に適したライムが栽培されている。現在、日本で流通しているライムのほとんど99%以上はメキシコなどからの輸入であり、国内産のライムは希少である。そこで松山市は2009年度から「日本一のライム産地づくり」を目指し、生産者とともにライム栽培を拡大しているところだ。
松山産ライムの特徴は、なんといってもその新鮮さ。果実を絞ると、とたんにたっぷりの果汁がほとばしり、同時に爽やかな香りがあたり一面に広がる。輸入果実に比べ小さく、皮は薄くなめらかで果汁が多い。またレモンに比べ酸味はやわらかで、そのかわり苦味が少し。お酒にもっとも合う果実ではないかということから、今回のイベントが行われた。
白鶴酒造・東京支社の屋上にある「白鶴銀座天空農園」で育てられたライムを祝う収穫祭と、関係者などを集めた試食・試飲会である。
今年で2年目の、再利用の樽で育てられたたわわに実るライムたち。この天空農園では松山産ライムの他にも、いろんな地域の農作物が樽やプランターで育てられている。
現在、ライムの輸入量は年間2200t。国産ライムは希少であるが、防腐剤などを貼付しないことから安心で安全、鮮度のよさが魅力であり、日本一の国産ライム産地を目指して松山市は挑戦をしてきた。
銀座の真ん中で育った松山のライムをテープカットさながらに収穫。収穫時に一番香りを放つという松山産ライム。あたりにライムのいい香りが漂う。
小田農園長にご苦労された点を聞いた。
夏、炎天下の中で容器で育てることで、やはり乾燥がもっとも心配するのだそうだ。日々見回り、水をやり目をかけながら盆暮れ正月の休みなくケアすること。収穫の日まで責任をもって育て上げることが、自分の仕事であり一番重要なことだと農園長は語る。
次に場所を階下の「白鶴銀座スタイル」に移して、試食・試飲会が引き続き開催された。
ライムを用いた様々な既成製品があり、参加した方はそれぞれの味を堪能した。
松山産ライムのリキュール「蔵元のらいむ酒 香来夢(こらいむ)」
田中屋「松山ライムぽん酢」
松山ライムサイダー「プライム」。
ここで楽しんでみたのが、白鶴酒造の酒を氷・ライムサイダーで割り、松山産ライムをしぼった「サムライロック」。日本酒のもつ匂いが苦手という人にもライムの爽やかな香りであっさりと飲みやすく、透明感がありキレがいい。
このみずみずしい果汁が松山産ライムの特徴!ライムの爽快感でさっぱり飲めて、どんな料理にも合いそうだ。また添えられた葉も手で揉みしだくと、さらに柑橘のよい香りが広がりあたりは一気に華やかな雰囲気に包まれた。
じゃこ天の「松山ライムぽん酢」付け
松山の定番、小魚の旨みが詰まったじゃこ天は、冷めてもおいしい食卓の味方。これをあえて炙り直して、大根おろしと田中屋の松山ライムぽん酢でいただく。
フルーツの名店・銀座千疋屋が松山産ライムを使ったオリジナルのスイーツを考案し、そちらも振る舞われた。
「松山産ライムのパルフェ」は、ブラマンジェのような感じのなめらかなアイスクリームの上にはスライスされたライム。添えられたゼリーももちろんライムのゼリーだ。
するするするーっと溶けてゆく優しい口どけ。そこにライムの酸味がアクセントに効いている。さほど甘すぎず、男性でも好きな味に仕上がっていたのではないだろうか。
最後のドリンクとして、ライムの搾り汁とガムシロップ、そこに銀座千疋屋の自家製ライムシャーベットが入った「松山産ライムソーダ」が各テーブルに届けられ、まさに収穫祭にふさわしいライムづくしの日の締めくくりとなった。
※取材・撮影:瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクトサポーター千野苺子
松山産ライム:http://ritoumeguri.com/gourmet/23513.php