2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
柑橘の王国、松山で作る天然エッセンシャルオイルは素朴で優しい香りが懐かしい
天然の自然な柑橘の香りで話題の「媛香蔵」を製造している三洋興産の飯尾専務にお話をお聞きしました。
Q:立ち上げるまでの流れを教えていただけますか?
A:三洋興産株式会社はもともと、昭和39年に設立した愛媛県の産業用機械器具卸の会社で、学校などのプール循環ろ過装置や塩素減菌機やオゾン減菌機、紫外線減菌機など各種機器やプール関係の医薬品や器具等を扱っています。
大学を卒業し中央のゼネコンに入社、そこで社会資本の流れや経済の動向を学んでいくなかで市町村合併が日本で全国的に行われ、その市町村の統廃合を目の当たりにし、これからの農業はどうなるのか、統廃合で縮小された町はこれからどうするのかなど、現代社会の経済的矛盾のしわ寄せをどのように受け止めれば良いのかを悩みました。
そして、地元、愛媛松山に戻ってきて考えたことは、田舎には田舎なりの生き方があるのではないか、それは取りも直さず、産業そのものが地元でなければ出来ない物、そのためのコミュニテイを作り上げることではないか、そうすることで地元の経済的活性化やそれに伴う雇用の増大を狙い、自分を育ててくれた愛媛松山に恩返しが出来ると考えて、新事業部を立ち上げました。
Q:コミュニティとはどのようなものですか?
A:「貴方は松山が好きですか」という問に「好きです」と即答出来る人なら誰でもコミュニティに参加できますよ(笑)。自分の住んでいる街をもっとみんなに知ってもらいたい、元気で明るい街にしたい、目標はどうあれ、松山が好きだから自分が出来るところから始めてみてはどうでしょう。
私が思いついたのは香りです。街には必ず香りというか、匂いのイメージがあると思います。そして、松山の匂いってなんだろうと考えると答えはすぐに出ました。それが媛香蔵なんです。柑橘といっても1種類ではありません。種類が違うように香りもすべて違います。松山に住んでいるからこそ、その違いを楽しめるし、分かるんじゃないでしょうか。そして、それを一人でも多くの人に知ってもらいたいんです。
Q:商品の媛香蔵はどんなものですか?
A:瀬戸内・松山の香りのイメージは柑橘の爽やかな匂いではないでしょうか。
その商品として作った第一弾は名刺です。一番の特徴は、容器に入れると軽く2ヶ月は持つという物で、実際に使ってみてコレならいけるという事で商品化しました。日常名刺を使われる方には使う度に、柑橘系の爽やかな匂いでリフレッシュ出来るという優れものだと言えます。
Q:香水とかアロマとか香りに関する商品って好き嫌いがはっきりするものですが、では、なぜアロマだったのですか?
A:会社の本業は夏がとても忙しく、冬はそうでも無かったことが一番大きな要因ですね。その閑散期に誰もやってない事を考えていくうちに、柑橘は冬がメインであるし、その柑橘の皮から油をとることを考えました。
その考えをつき詰めていくうちに、これまでの自社での経験から柑橘そのものの成分をチェックし、すべての研究開発を行うことで100%自然から生成した「媛香蔵」が完成しました。そして、地元の柑橘生産者・業者では果皮を捨てていたのをリユースするという発想の転換で、製品化できたことはよかったと思います。決して廃物利用ではなく、本来使われるべきものが利用されていなかった物を、活かす事ができたのが嬉しいですね。
Q:これからの課題とか目指しているものは?
A:これからも研究開発に勤しみながら自分達のコミュニティを活用し、もっと安価で使いやすく、もっと良い物を提供して満足していただきたいですね。その結果として業界をリードする企業を目指します。
さらに、商品の特徴を前面に露出していこうと思います。
その特徴とは、国内有数の柑橘の生産地である愛媛県で生産された柑橘、植物を原材料としていることです。そして、柑橘の香りは品種や時期によってそれぞれ異なることは案外知られていませんが、その季節、時期、時間などで異なる自然の香りを、愛媛の企業でなければ作れないものを「媛香蔵」が提供したいと思います。
Q:将来はどのような物にしたいですか?
A:これからの新しい試みとして、空港や港の待合室で来松された観光客や帰郷した人達に優しく思い出にもつながる柑橘の香りでお出迎えをしたいですね。松山は柑橘の香りをイメージだけでなく実際に体感していただければイメージアップに繋げることが出来ると思います。アロマの香りで愛媛の魅力をわかりやすく知っていただくことで、愛媛松山をもっと知りたくなり、商品が欲しくなり、その結果、来松したくなるものを提供して行きたいですね。
アロマの香りは、生産者のみかん畑を繋げますし、みかんの花の香りを繋げる。そして、生産者や加工業者、利用者等の人と人を繋げるものと思います。
今日はお忙しいところ、有難うござました。
実際に専務から名刺をいただいて、ほのかな柑橘の香りでとてもお洒落でした。何よりも嬉しかったのは自分の名刺ケースが柑橘の香りにつつまれたことです。しばらく、名刺ケースを使うのが楽しくなります。
柑橘と一口にいっても、人口臭さがないので嫌味は感じられません。愛媛県人には基本の匂いかも知れないですね。