2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
愛媛ブランド牛の初試食会
愛媛ブランド牛の試食会が、2014年9月1日に開催された。黒毛和牛の赤身に取り組む愛媛県として、初出荷に伴う試食会として愛媛ブランド見守り隊が試食した。
通常30ヶ月、約750kgで出荷する黒毛和牛であるが、今回の取り組みは24ヶ月もしくは27ヶ月で出荷する。今回試食した黒毛和牛は24ヶ月(雄)で750kgのA4クラス、27ヶ月(雌)でA3クラスであり目標に近い状態となっていた。
鶏肉は通常2ヶ月で出荷するところを媛っこ地鶏は3〜4ヶ月で、豚は半年で出荷するところを甘とろ豚は7ヶ月で出荷するという。その反面、愛媛ブランド牛は4〜6ヶ月短縮させる。それは通常の30ヶ月で出荷するとサシが入り、目指すところの赤身重視にならないのである。しかしながら約半年早く出荷する事で旨味や風味が減少したのでは意味がなく、食事の工夫や適度な運動などの飼育管理により目標値に近い数値を生み出しているのである。
夢クッキングスクールの梅田昌功校長による調理がなされ、会場には美味しい匂いが漂い食欲をそそる。
夏場約15分、冬場約30分で常温に戻し、牛肉から出てくる脂を利用して220〜240度位の熱で表から焼く。「触らない、動かさない」ことにより、柔らかくそして綺麗に焼く事ができるのである。そして「目」と「耳」で焼き加減を判断するのである。焼けた肉はアルミホイルで巻き、肉汁を閉じ込めるのである。
27ヶ月の雌は、脂肪分が少なく柔らかくあっさりしている。温州みかんの皮を食べていることもあり獣臭がなく、期待通りの肉質であるという声があがった。それに対し24ヶ月の雄は、柔らかいが弾力があり独特の臭みもない。しかし口の中で旨味が少し感じにくいという意見もあった。
また愛媛ブランド牛と比較するために普段なじみのあるホルスタイン系の肉を食したが、口の中に入れた時の肉々しさや固さなどその差は歴然としていた。そして部位による違いを知るため、一般に固いといわれるモモ(雌)を食した。固さを感じず、反対にほどよい歯ごたえさえ感じたのだ。これには切り方や焼き方にコツがあり、繊維の向きに切る事によりある程度解決できるのである。愛媛ブランド牛見守り隊メンバーは、牛肉の特長を把握した上で料理法やそのコツに至までブランディングしていく大切さを学んだであろう。
反対に男性側の意見は、24ヶ月の牛はあまり肉を感じず男女の差を感じたと言う。女性をターゲットにした今回の愛媛ブランド牛はある意味成功であり、万人向けの味はなく愛媛ブランド牛見守り隊の舌を信じていきたいと改めて感じたようだ。
愛媛県はホルスタインの割合が高く、反対に黒毛和牛は都会を中心に出回っている。黒毛和牛に馴染みのない愛媛県内でどのように周知していくのか、大きな課題である。また愛媛県内で黒毛和牛の生産農家は10件ほどであり、今後の安定した供給が経営に繋がるのである。
本日の試食を通し、愛媛ブランド牛見守り隊として学んだ事は数多くあった。
6月下旬に西予市野村町にある愛媛県農林水産研究所 畜産研究センターに行き、どのような環境の中で黒毛和牛が育成されているのか実際に見て感じた。今回試食し味を知り、どのようにブランディングしていくのか・・・このように一連の流れの中で、最終的に2015年5月に一般公開となるのだ。
愛媛ブランド牛は現段階、途中段階である。愛媛ブランド牛見守り隊により、焼き方・シーン・レシピ・部位による食仕方などを試行錯誤しながら育てて、完成品は一般の人が食べるのである。女性によるブランディングは全国的にみても初の試みであり、女性をターゲットとした愛媛ブランド牛は今後どのように変更し向上となるのか注目である。
調味料や付け合せの野菜、牛だけではなく器や酒など全てにおいて一緒にブランディングしていく、まるごと愛媛なのである。株式会社クリエイティブ・ワイズの三宅曜子氏と関係者による今後の活動協議で、塩とコショウというシンプルな調理で肉の本質を味わったが、次回は愛媛ブランド牛見守り隊で様々な調理法による味・肉の香りなどの変化を学ぶこととなった。
様々な牛肉の試食:http://ritoumeguri.com/14756/
畜産研究センターに黒毛和牛視察:http://ritoumeguri.com/20055/
愛媛ブランド牛見守り隊による愛媛県中村知事報告:http://ritoumeguri.com/21014/
愛媛ブランド牛初試食、中村知事が笑顔に:http://ritoumeguri.com/22392