2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
絵を描く事が好き・・・大二郎さんの個展開催
神様から『コトバ』の代わりに魔法の筆を1本もらった。。。
ブログ「d’s galerie」のトップに、書かれていることばである。galerieとは、「画廊」という意味である。
松山市北条鹿島のかしまーるで「d’s galerie 大二郎画伯『はじめての・・・個展!やります!』」が、6月21日〜28日まで開催されている。会場には、橋本大二郎さんの約500点の絵などが並ぶ。その多くは、パソコンで描いた乗り物や動物・人などが表情豊かに描かれていた。中でも目を引いたのが、「足」である。大二郎さんは「足」に興味を持ち、足裏や靴の裏などを見る事が好きだそうだ。細長い足に長い靴、ユニークでまた独特な表現力である。
橋本大二郎さんは、県立今治特別支援学校高等部3年生(18歳)である。話すことが少なく親が心配している中、4歳の時に自閉症と診断された。幼い頃から絵を描く事が好きで、ひらめいた時にはパソコンの前に座り、それからはひたすら集中して絵を描く。時間によってはご飯がずれることも度々とか・・・でもその集中力はすごく、母の言葉も耳に入らないそうだ。手で描くときは、鉛筆と色鉛筆を使う。また、大二郎さんの気持ちを母が代弁したブログの記事を展示している。
「絵で表現することができて、大二郎は幸せです。」と話す母の美和さん。
自閉症と判断されてから、悩み涙する事も度々であったと話す。障害を受け入れるまでの日々、何度もぶつかる壁、前に進もうと決めても振り子のように揺れてしまう心・・・様々な想いは計り知れないものである。しかしその中に楽しみや嬉しさ、そして周りの大きな支えがあって今に至っているのであろう。目頭が熱くなる美和さんを支えるように、大二郎さんの絵が包み込んでいた。
自閉症はかつて「ココロの病気」と言われ、親の育て方や家庭環境が原因では・・・という認識があった。しかし大きくなっても治ることのない、脳の特性によっておこる「発達障害」なのである。自分と相手との関係を正しく理解できずに不適切な行動をとってしまう「社会性の発達の障害」、人に意思を伝えたり理解する事が難しい「コミュニケーションの障害」、臨機応変に対応する能力が極端に不足や偏った物に強い興味を示す「イマジネーションの障害」と、3つの能力障害があるとされている。他にも感覚が鋭すぎたりなど、自閉症といっても症状は1人ひとり異なる。
今回の個展は、美和さんと友人たちで作る手作り雑貨のグループ「d’s galerie(ディーズガレリ)」が主催、北条地区まちづくり協議会が協力している。個展後は島内にある「海とcafe」で、一部作品を展示する。
d’s galerie <ディーズ ガレリ>:http://blogs.yahoo.co.jp/dai_gahaku