2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
浅田政志氏と行く「忽那ロマン探訪クルージング」
写真家 浅田政志氏と行く「忽那ロマン探訪クルージング」が2014年5月18日(日)に、里島めぐりと瀬戸内しまのわ2014のコラボにより開催された。当日は石崎汽船さんの高速船をチャーターし、松山観光港から安居島に渡り、後半は中島でランチをして散策、浅田氏のお話しをお聞きするという日程。
当日、70名を超える参加者の人の中にも、初めて上陸するという安居(あい)島。南北0.2㎞・東西1.3㎞・周囲3.5㎞という細長い陸地の南側に20人前後の島民が生活している島は、「ひじき」が有名。特に旬の季節に市場に出回る「生ひじき」は、春しか味わえない貴重なものである。
安居島に上陸後、「安居島ひじき倶楽部」の佐伯様より安居島の話しがあった。浅田氏の話しの後、下船口北方向にある「みどりの墓」に向かった。その後、このまま尾根沿いに東方に向かって散策する。時間にして、30分〜40分のウォーキング体験。
やがて東の海岸へ降り立ち、人家と海の間の路を港へ向かう途中、島の人から心のこもったおもてなしがあった。島の名産ひじきを、何種類もの味付けで試食するというもの。
梅干し味のひじきは、後味の梅味がなんとも爽やかなひじき料理へ変貌しているのが嬉しい。新鮮な潮風味のひじきの中で、梅が上品な味わいとなっている。
生姜風味のひじきは、今回の一番人気。潮風味のひじき爽やかな生姜の風味がバランス良くまざり、口内で心地よく広がるのが心地よい。
醤油味のひじきは、安居島産の竹の子を混ぜあわせていることで、粒の揃ったひじきの中に島の春を想わせる。竹の子の歯ざわりが、なんとも言えないアクセントになっている。
ひじきサラダは、島野菜と混ぜあわせたサラダ。生まれ育った同郷の素材が混ざり合ったもので、島のひじきと野菜がからだの中から元気にしてくれる一品。
時間にして90分ほどで島を離れた。「今度はもっとゆっくりしてみたい」と、参加者の言葉が印象的。
高速船で約20分、中島大浦港へ到着。下船後「中島総合文化センター」に向かう。少し手前に中島諸島で1つしか無い信号機を渡る際、島の方から1つ質問が投げかけられた。
Q:「なぜ、信号機があるのでしょう? ヒント!は小学校前」
A:「学校前に設置し、事故を最大限なくす(減らす)ため」と答えた方は間違いで、正しくは、「信号機は町で生活していくなかで普通に存在している物、その普通にある信号機に慣れて貰うためだそうです。」である。
「実体験で学ぶ」その大切さを、大人から子どもに伝えている事柄の1つである。
中島総合文化センターに到着。各自、好きな席に着席するが、この座った席がこれから行われるイベントのグループとなる。
最初、浅田氏より作品についてのレクチャーが行われた。浅田家(ペーパーバック)、家族新聞(単行本)など、家族全員で様々なシチュエーションを想定しそれぞれが自分の持ち味をだしている、とっても楽しい写真集となっている。実際に撮影に入るまでの裏話や失敗例などを交えての楽しい話しは、終始笑いが途切れることがなかった。
本日のもう1つの楽しみ、島ランチバイキングが始まった。予想外にも、バイキング形式にしたのは今回が初めてとの事。サザエやウニ・タコなど、島の食材をふんだんに使用した料理となっている。
サザエ飯はサザエが程よく混ざりあいながら、柔らかくサザエの美味しさを楽しめる。
ウニ飯は濃厚なウニの味を損なうことなく、美味しさをご飯全体で味わう。
天然鯛が普通に獲れる中島の鯛めしは、鯛の上品な旨みが隅々にまでゆきわたった島の鯛めしで今回の一番人気。
島でタコが昔ほど獲れなくなっているようだが、島の急流で育つタコは弾力と深い味わいのタコ飯に仕上がっている。タコの身を小さ目に切っていて、食べやすい。タコ色のピンクに染まっているご飯は、その鮮やかさが食欲をそそる。
ひじきの煮物はなんとも優しい味で、ひじきの味を最後まで味わいつくす。
サザエのつぼ焼きは1匹まるごとを一旦取り出し、小さくカットしたものを調理している。箸で最後まで味わう事を目的とし、何よりも食べやすいことが嬉しい。硬すぎない程よい硬さは、サザエの旨みを最後まで堪能できる。もちろんワタもいただける。
鯛のお造りは、食べる直前に切り分ける。身のプリプリ感が半端無く、噛めば噛むほど「ジワッ」と口内に広がる天然鯛の美味しさを味わう事ができる。また島もずくは瀬戸内海で育った天然もずくの美味しさを逃さず、最初から最後まで海の香りと天然もずくを味わえる一品となっていた。汁物は、鯛の潮汁と卵とじから。
他にもフライやじゃこ天なども、島のものを使用した料理となっていた。
俊成さんちの果汁100%ジュースも、温州みかん・はれひめ・せとか・はるみの4種類を使用。生果は今の時期はカラマンダリンが旬で、好きなだけ頂くことができる。
どこまでも、自然・天然物しか使用していない素材の本物の味にこだわりぬいた贅沢ランチであった。
食事や島の散策終了後、しまのわ幟(のぼり)制作を行った。部屋のグループ毎に、自分たちの好きなように今日の島体験を幟に書き込んでいく。ここでは子どもたちが1番得意とするところのようで、もちろん全員参加。
そして全員の記念撮影があった。ここで浅田氏の真骨頂である人と、笑顔と気持ちが伝わる写真を全員で目指す。合言葉は「しまの〜〜わ!」という掛け声と同時に、隣同士がしまのわポーズをとるというもの。練習も行って、全員で「しまの〜〜わ!」。この写真が後日発表されるとの事で、楽しみである。
今回のクルージングでは最初バラバラだった参加者や島の人・行政の方などのみんなの心が、時間の経過と共に1つ1つ繋がっていき、最後の全員記念写真では1つの塊になった。とても気持ちよく清々しいみんなの表情に、このイベントの楽しさと充実した内容の素晴らしさを感じた。このようなイベントを通し島の歴史や魅力・島食材などを多くの方に知って頂き、「また島に行きたい」と思う人が増えることに繋がってほしい。