2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
伝統ある神輿ロープ巻き
昭和の古町神輿ロープ巻き(喧嘩支度)が、2014年4月6日に松山城二ノ丸・奥砂利広場で開催された。古町大神輿運営実行委員会・八角大神輿会・四角大神輿会が主催されている。
開催にあたり、味酒小学校金管バンド部演奏がおこなれ会場を盛り上げた。
松山の秋祭りは「けんか神輿」と言われ、神輿同士が激しくぶつかり合い観客を魅了する。
その中でも、四角・八角の歴史は古く17世紀末の元禄年間にまでさかのぼる。四角型(黒色)は「四角さん」、八角型(金色)は「八角さん」と親しまれ、屋根に交差した千木をつけた「千木(ちき)」の3体がある。元禄神輿は、氏子より奉納された「千木神輿」と藩主より拝領神輿として頂いた「四角神輿」「八角神輿」であり、千木→八角→四角の順番で宮入となる。鉢合わせの際は、激しくぶつけ合うことで高揚する「神」の御神徳を授かると言われている。その為、神輿のロープ巻きはとても大事であることがわかる。これまでのぶつかり合いでゆるむ事のなかったロープは、その巻き方に伝統と技があるのだ。
古町大神輿秋季大祭として松山市城山公園(ふれあい広場)で、10月7日6時と18時の2回ある鉢合わせが行われる。
2013年の古町大神輿秋季大祭はこちら:https://ritoumeguri.com/12468/
今回の「昭和の古町神輿ロープ巻き」は、昭和(戦後)から平成6年まで活躍した神輿である。今の神輿になる前の神輿である。2013年から松山城二ノ丸にて展示されていたが、ロープがゆるみ始め今回締め直しが行われた。松山城二ノ丸に展示されていることもあり、春祭りの一貫として開催。「来年も開催したいと思う。地域の活性化につながれば・・・」と主催者は願う。
四角・八角の各100mの麻ひもを、各70人近くの人で締め直す。麻ひもは解きにくいが、今ではほとんどの神輿で使われなくなっているようだ。八角は100mの麻ひもを1本で締めていき、四角は縦・横・銅の3本に分けて締めていく。「ロープを殺す」ことで、あの激しいぶつかり合いにも緩む事がないと言われていた。ロープがロープを締め上げていくことを「ロープを殺す」というが、少し「どきっ」とするものである。
締め方や力の入れ具合など、代々引き継がれてきたものであり、ある意味職人技ともいえよう。八角は経験者を中心に、四角は若い人を中心とした動きがあったが、どちらも「若い人たちに覚えてもらいたい」という想いが伝わってきた。それはこのロープ巻きを見に来た観客に、ロープを引っ張るという形で参加してもらう動きにもつながる。祭の楽しさや伝統を体で感じてほしい、という想いである。このようにして昔から地域の祭というのは、伝承されてきたのであろう。
ロープ巻きが終了し、鉢合わせの見せが行われた。歴史を経て今に至る昭和の神輿は老朽化のため、ぶつけることは出来ない。しかし会場は一気に盛り上がりを魅せた。
最後にお祝いの餅まきが行われた。松山市の野志市長と姉妹都市であるフライブルクのディーター・サロモン市長も餅まきに参加。「ドイツではパイ投げという遊びがあるが、餅まきは幸せをかけてくださいね」と野志市長が話をしたと言われていた。少し戸惑い気味のディーター・サロモン市長であったが、他の方がされている様子を見て楽しみながら餅まきをされていた。
古町大神輿 四角会:http://www.shikakukai.com/