2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
150年以上の歴史がある「庄大根」
庄大根は、松山市北条の庄地区で古くから作られてきた伝統野菜である。
根の上部が赤く下が白くて、きめ細かい肉質と甘味が強く柔らかいのが特徴。この写真は12月初旬の庄大根だが、年明け以降の霜にあたることにより赤色はより鮮やかに、そしてより甘さが増す。
庄大根は地野菜として地元の方の保存食や副食として愛され続けてきたが、普及している青首大根などとの自然交雑が起きてしまったことなどにより、庄大根本来の特性が失われた。その危機に地元の農家が愛媛県農業試験場に依頼し、昭和57年から選抜採種を始められ平成6年に成功。失われつつあった庄大根は復活した。その復活した庄大根を守るため、地元農家による「庄だいこん研究会」が平成8年(当時「赤首だいこんを保存する会」)に立ち上がった。
庄大根は植える時期が大切で、9月10日前後に種まきをし12月〜3月頃まで収穫できる。とう立ち(花を咲かせる茎のこと)・す入り(中に空洞ができてスカスカになる現象)が遅く、長い間食べれるのが特徴である。
現在、エコ栽培(科学合成農薬・科学肥料を県が定めた基準から5〜3割以上削減して行う栽培)をされており、「愛媛産には愛がある」の認定シールが貼られている。「愛媛産には愛がある」とは、愛媛県産農林水産物の消費拡大・販売拡大を目的とされ詩人故坂村真民氏の書である。何よりも安心安全の庄大根ということになる。
松山市農村生活研究グループ連絡協議会 庄だいこん研究会の中心メンバーは、5人の女性。庄大根の管理・直売所への出荷など、全てされている。メンバーの1人である坂本信子さんは、「管理が大変で手がかかるけど、安心安全な庄大根を食べていただきたい。」と話されていた。
。種から発芽させるのも他大根に比べ難しく、また発芽しても虫が食べてしまうため大きくなるまでが大変である。「エコ栽培により虫もつきやすいので、何匹も蝶を追っ払らったことか・・・」と笑いながら言われていたが、その苦労は想像を絶するものであろう。細かくふわふわの土になるように耕し、硬い石や土にあたることによる二股大根になるのを防いだりと、手をかけ愛情をかけて育てられている。
庄大根は水分が少なく甘みが強い、そしてとても柔らかいので煮る時間が少ない。
伝統食としての口金汁(くちがねじる)は、毎年7月20日に庄地区で行われる「虫祈祷(きとう)」の豊作祈願の縁起物として、はったい粉(きな粉)をまぶしたおむすびをお供えし食べたと言われている。今もなおその伝統行事は続き、地元の方の手によって引き続けられている。
乾燥した丸干し大根を輪切りにした時にその形が瓶の王冠(口金)に似ていることから「口金汁」といわれるようになったとか。油揚げ・豆腐・ネギが具材として入れる。
他には、ごぼう・こんにゃく・人参・椎茸・昆布と混ぜて作る野菜の煮物や大根おろしで食べる。また庄大根の桜漬けは、北条市庄地区生活改善研究グループが伝統を受け継いで作っている保存食である。塩漬けにしたものを、カブス(カボス)と米酢の合わせ酢に漬けるとより淡い桜色になる。庄大根の皮の色素を利用した桜漬けは、淡い色で人気がある。
庄だいこん研究会のグループ名は「アバターレ」である。アバターレとは、イタリア語で「見守る」という意味。庄大根を、地域を見守り続ける・・・そのような優しい気持ちが伝わってくる。
庄大根は、道の駅「風和里」・太陽市・ハトマート北条店で手に入れる事ができ、また道後温泉茶玻瑠と道後温泉ふなやで料理で頂く事ができる。
【庄大根】
出荷時期:12月〜3月
詳しくはこちら えひめの食財ファイルHP TOP》野菜》庄大根研究会 庄大根 http://www.aifood.jp/ehimesyokuzai/?p=342
出荷先:道の駅「風和里」 http://www.fuwari.or.jp/
太陽市 https://www.ja-e-chuo.or.jp/public_html/ohisama/ohisama_index.html
Aコープハトマート北条店 http://nishinihon.acoop.jp/shop/list/shop_63.html
料理提供店:道後温泉茶玻瑠 http://www.chaharu.com/
政府登録国際観光旅館 道後温泉ふなや http://www.dogo-funaya.co.jp