2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
神の島3大スポットを巡るクルーズに参加
神の島3大スポットを巡る「瀬戸内パワースポットクルーズ」が、2013年11月3日(日)に開催された。国土交通省官公庁「官民移動した魅力ある観光地の再建・強化事業」の一つとしてモニターツアーを実施され、JTB中国四国松山支店企画、石崎汽船主催。募集人数70名のところ68名とほぼ定員に達し、添乗員のもと松山観光港を出発となった。
瀬戸内海にはパワースポットがたくさんある中、大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)の巨大クスノキ、縁結びで知られる御手洗地区、神様の島として日本有数のパワースポットである宮島の3大スポット巡りである。3ヶ所を巡るクルーズはこれまでになく、初の試みのようだ。
雨が心配される中、最初のスポット大山祇神社へ向かった。高速船(チャーター便)で松山観光港を9時出発、忽那諸島を船内より見学しながら向かう予定であったが、見通しが悪く直で今治市大三島町宮浦港に向かった。少し早目の10時過ぎに着き宮浦港からはバスで5分程、大山祇神社に到着。
現地案内の方の説明を聞きながら、大山祇神社を案内していただく。
大山祇神社は大三島にある伊予の一の宮。594年(推古天皇2年)の創建と言われ大山積神を祭神とし、全国の山祇神社・三島神社の総本山である。山の神・海の神・武の神として古くから信仰を集めた神社。
大山祇神社で有名な神事である「一人相撲」が行われる土俵。毎年春の御田植祭(旧暦5月5日)と秋の抜穂祭(旧暦9月9日)に、大山祇神社の御淺敷殿と神饌田の間に設けられた土俵で行われる相撲神事である。必ず2勝1敗で稲の精霊が勝つと決められているそうだ。
2010年に再建された総門は、高さ12mの総ヒノキ作り。
大山祇神社の境内には数百本の楠があり、楠は船の材料としても使われてきたことから特に大切にされている。
神門前にある天然記念物の乎知命(おちのみこと)御手植の楠は、国の天然記念物に指定。また縁結びのパワースポットとなっている。樹齢2600年という古木の周りを、息を止めて3周することが出来れば願いが叶うとも言われている。
樹齢3000年の日本最古の楠「能因法師雨乞いの楠」(枯死)が、神池近くにある。1066年の大干ばつの時に能因法師(歌人)が「天の川 苗代水にせきくだせ 天降ります 神ならば神」と詠んだところ、3日3夜雨が降ったと伝えられている。
大山祇神社宝物館は、690点の国宝と重要文化財が奉納されている。源義経が壇ノ浦の戦いで着ていたとされる鎧や女性用の鎧と言われている鎧など貴重なものがあり、その女性用の鎧をつけていたのは「鶴姫」と言われている。大山祇神社宝物館の見学もあり、ゆっくりと見学されていた。
大三島には語り継がれる鶴姫伝説がある。大祝鶴姫(おおほうりつるひめ)といい、大山祇神社の大宮司である大祝安用の娘である。16歳で陣代として出陣し勝利。先立つ兄や恋人への想いなどにより、18歳の鶴姫は恋人が消えた海へと船を漕ぎ母の形見の鈴を胸に自害したと言われている。
大山祇神社は別名「和多志の神」ともいわれ、島から島へ人や物を渡す神・海の神としても信仰を集めている。こちらは地元の造船会社が、航海の安全を祈って奉納した自動車運搬船のスクリュー。
第1のパワースポットを後に、お待ちかねの食事となった。
大山祇神社のすぐ近くにある「せとうち茶屋」は、しまなみの特産品・飲料・お菓子などもあり土産を買われる方もいた。
鯛めし天ぷら御膳は名物鯛めしや旬の料理(檸檬柿付)であり、皆さんとても美味しそうに頂いていた。
お腹も一杯となり宮浦港を出発し、次のスポットである「呉市御手洗地区」に到着。あいにく雨が降り出し、雨の中の街並み散策は2班に分かれて行った。
御手洗(みたらい)は、瀬戸内海に浮かぶ大崎下島(広島県呉市)の港町である。江戸時代、風待ち・潮待ちの港町として栄えた御手洗は、平成6年重要伝統的建造物群保存地区として国から選定。17世紀中頃の痕跡があり、また天満宮などパワースポットが点在している。ガイドの方と一緒に巡っていく。
一瞬、江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える「江戸の町屋」。4軒の「茶屋」が置かれ花街として歴史に色を添えた遊女たち。他にも様々なスポットを巡った。
最初のパワースポットである「天満神社」に着いた。
神功皇后が三韓侵略の時にこの地で手を洗われたことから、「御手洗」と呼ばれるようになったという伝説があります。また明治に入り、菅原道真公が大宰府に左遷されたとき、天神山のふもとで口をすすぎ手を洗われお祈りをしたという伝承もあります。
願いを込めてくぐると願いが叶うと言われている「可能門」。天満神宮本殿の下をくぐる。
新光時計店(松浦時計店)は、創業1858年と日本最古の時計店といわれている。
おもしろウォッチング!!足長小学生!?戦後すぐのものだとか。
次に、千砂子波止の鎮守社である住吉神社に着いた。海運の神様で、住吉造の社殿は全国的にも数が少ないそうだ。
千砂子波止は江戸時代に石で造られた高燈籠で、広島藩が「中国無双」の大波止として1829年に作られた。石造りの太鼓橋「すみよし」橋は、住吉神社へ行き来するための橋である。
住吉神社の裏には、永遠の繁昌を夢見て石垣に「鶴」と「亀」が刻まれている。
江戸時代に建てられたという三軒長屋の船宿跡。現在は、アート展示&カフェ。
最後のスポット「恵美須神社」は、本殿と鳥居をつなぐ参道は県道で分離され鳥居のみが海に向かって立っておりとても珍しい建て方である。
「愛の告白鳥居」と若い人の間で人気があり、鳥居を抱きながら好きな人の名前を西に向かって叫ぶとその恋が叶うとか。
3スポットを巡って、きっとパワーのついた皆さん。今度は宮島に向かった。
宮島では自由行動である。「神のいつく島」として島そのものが神様として信仰されていたため、人は住むことも土地を耕すことも許されなかった歴史があるそうだ。そのような宮島には不思議な言い伝えや、パワーが宿る場所がある。
宮島の厳島神社は、1400年の歴史をもち「安芸の宮島」とも呼ばれ日本三景の一つで有名なパワースポットでもある。平安時代の寝殿造りの絆を極めた建築美で知られ、廻路で結ばれた朱塗りの社殿は潮が満とると海に浮かんでいるようで魅了する。(昨年撮影)
今回はちょうど引き潮で、大鳥居まで歩いていくことができた。普段なかなか見ることが出来ないので、多くの方が近くまで行かれていた。8代目の大鳥居は、奈良の大仏とほぼ同じ高さの16m・重量は約60t。主柱は樹齢500~600年の楠の自然木で作られている。根本は松材の杭を打って地盤を強化し、箱型の鳥木の中に石を詰めて加重するなど鳥居の重みだけで立っている。
普段は海に浸かっている柱には、カキ殻とカキ殻の間にお賽銭があった。きっといろいろな願いを込めているのであろう。
宮島を散策していると、必ず出会う鹿。とても慣れていて、可愛らしい目で「じぃー」と見つめてくれる。そして時々、ずうずうしくもあり(笑)お客が行き来しても、動じず・・・
お土産を買ったりして思い思いの時間を過ごし、スポット巡りは終わりになった。宮島から松山観光港までの船中では、パワーが3倍増したみなさんの素敵な笑顔で包まれていた。雨の中であったが一緒に巡った「瀬戸内パワースポットクルーズ」は、とても素敵な思い出の1ページになったことであろう。
大山祇神社:http://ehime-jinjacyo.jp/?p=1542
呉市豊町観光協会:http://www.yutaka-kanko.jp/
宮島:http://www.miyajima-wch.jp/
JTB中国四国 松山店:http://www.jtb.co.jp/shop/matsuyama/
石崎汽船:http://www.ishizakikisen.co.jp/