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2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。

|グルメ

職人の究極の技から生まれる菓子

日本の伝統的な美である和菓子。四季の移ろいを感じ、繊細で美しくおもてなしの心を表現する。
そこに本物にこだわる職人が、この松山にいる。
創業140年の老舗である花川堂は、4代目である坂本崇さんにより伝統的な手法と味が守られ、本物の素材にこだわっている。自分の舌で厳選された素材は、和菓子へと姿を変える。

花川堂

本物、そこから生み出されるものは何だろうか。
それは、同じものは一つとしてない菓子である。分量を量ることもなく勘で作られていく和菓子は、たとえ同じ素材を使おうとも同じ菓子に仕上がることはない、と崇さんは言われる。
しかしそこには両親から引き継がれた味、その両親もまた代々引き継がれた味を守り続けられ、花川堂の歴史となっているのであろう。

花川堂

花川堂

愛媛の郷土菓子の一つ醤油餅は、米粉に小豆島の醤油と砂糖を入れて練り上げ、丸めて3~4時間かけて蒸していく。私たちが食している愛媛県産の米を、基本は手で挽いて米粉にする。北海道の小豆を使用した餡は優しい甘さで、醤油餅の味を邪魔せず旨さとなる。

花川堂

花川堂

そして花川堂を語るならば、「わらび餅」は外すことができない。
わらびの根茎に蓄えられたでんぷんから出来たのが、わらび餅の原料となる本わらび粉である。1㎏のわらびの根から約30gしかわらび粉はとれなく、また7年経ったわらびを収穫した後は3年休耕、そして10年育てると言われとても手間暇がかかる。また粉にまで精製する手作業に時間もかかるため、現在では本わらび粉の代わりにサツマイモなどからとれたでんぷんを使用しているものがほとんどである。そのため、日本でも数店舗しか本わらび粉で作ったわらび餅を出しているところがなく、花川堂もその一つである。その本わらび粉を鹿児島県垂水市から仕入れ、水ときび糖とで練っていく。

花川堂

本わらび粉で作ったわらび餅は、黒に限りなく近い色。そこにコクのある沖縄産黒蜜をたっぷり絡めて、香ばしい京きな粉をかける。

花川堂

花川堂

守り続ける変わらぬ味、そして新しい味。わらび餅もそうであるが、くり餅もまた崇さん独自が生み出した菓子である。
城川産の銀寄で作られたくり餅は、銀寄ペーストを佐賀県産もち米のヒヨクモチで包んでいる。銀寄は舌さわりがなめらかで風味豊かな上質栗。その銀寄の味を活かした菓子は、銀寄を作られた農家もまた口にしたくなる味に仕上がっている。

花川堂

花川堂
坂本崇さんは日本菓子専門学校卒業後、東京で5年ほど修行。20年ほど前に花川堂の4代目を引き継がれ、2012年9月に松山市三津浜から山越に移転。京都の宮大工建築の趣ある新店舗は、歴史ある花川堂の和菓子と共にこれから歴史を刻んでいくのであろう。

花川堂

食品添加物は一切使用せず、素材にこだわる。本物の素材には、食べることにより健康になる力がある。だからこそ本物を味わって頂きたい。と崇さんは話す。
しかし本物の素材いうのは手に入りにくく、場合によっては量も僅かということもあるようだ。それでも素材を求める手間や和菓子を作る手間を惜しまぬ心、大量生産にはない良さ、一つの和菓子に全力で向き合うその心は、まさに職人と言える。

花川堂

素材を見つけられるかで、味が決まる。8割が素材、そこに技術が加わる。いい素材があれば、その素材に変えていく。今日よりも明日へ・・・
真味の追求・・・、その言葉がふさわしく感じた。

花川堂

手間を惜しむことのない崇さんのこころは、気となり和菓子に吹き込まれている。一心に菓子作りに取り組むそのこころは、和菓子を通し私たちのこころを打つであろう。

花川堂

【花川堂】
住所:愛媛県松山市山越5丁目7-15
電話番号:089-923-9267
営業時間:10~18時
定休日:日曜日
駐車場:有
花川堂HP: http://hanakawadou.com/index.html


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