2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
道後の街で味わう日本の味
湯を沸かし、茶を振る舞う・・・閑寂・清澄な世界を味わうことができる「茶楽」。
三千年の歴史のある道後温泉のすぐそば、創業慶応3年の山田屋まんじゅう道後温泉店内に茶楽はある。
時を忘れ、静かに頂く日本茶。日本人のこころを思い出させてくれるひと時。落ち着いた店内に流れるその空気もまた、深い味わいを醸し出している。
茶楽で出される玉露のしずく茶は、京都府宇治の玉露を使用。甘い露・旨みの詰まった滴で、独特の香りと味を楽しめる。
しずくの様な一滴に旨みを凝縮させる飲み方は、お湯の温度や時間で旨みが変化します。
お気軽に、お気楽に・・・
そのこころを大切にされている茶楽では、湯温40度3分で入れてくれた一煎目はとろりとした旨み甘みを楽しめ、二煎目以降は自分流で入れてその味わいも様々。湯音50度で濃厚に、70度で旨み・甘み・苦渋みの調和・・・など湯温を上げて何煎でも味わえる。
そして最後は、ポン酢しょうゆで頂く茶葉。しずく茶の最後の一滴まで味わうのと同様に、玉露を最後まで頂く。
夏季限定(5月中旬~9月末)は、冷たい玉露もある。
他にも、京都府宇治の煎茶・抹茶・ほうじ茶など、様々なお茶を味わえる。また四国に残る阿波番茶・碁石茶・天狗黒茶は、樽に漬け込むことによる酸味と独特の風味が特徴の発酵茶。健康効果が注目されているそうだ。
茶の旨みをより素晴らしいものにする村田益規氏や都築青峰氏作による茶器。作家の手から生み出された器は、独特の色合いと手になじむその使いやすさなど同じものは一つとしてない作家のこころを感じる。
創業慶応3年の山田屋は、初代髙辻源蔵氏が創案した製法は秘伝として、現在五代目がその味を今に伝えられている。
北海道十勝産の上質な小豆を丁寧に練り上げて造られたこしあん、厳選された小麦粉を使用した白い薄皮に包まれた上品なサイズの22gの山田屋まんじゅう。創業以来このまんじゅうのみで、一子相伝の技により変わらぬ味を守り続けられている。一子相伝とは、親から子へ、子から孫へと・・・その人にだけ伝えるという継承方法である。
1人の巡礼が西予市の一軒の商家に一夜の宿を求め、そのお礼にと主人にまんじゅうの製法を伝えた。その美味しさが評判となり、主人は宇和町にある山田薬師寺の山田薬師如来が製法を教えてくれたと信じて、「山田屋」の屋号で店を開いたのが始まりと言われている。
梅鉢のロゴは、当主の家紋。宇和町のみで販売されていたが、五代目髙辻元氏が「より多くの方に味わっていただきたい」と平成2年本社・工場を松山市に移転し、全国に展開。優しく深みのある甘みの山田屋まんじゅうは、世代を越え多くの方に愛されている。
茶楽では山田屋まんじゅうとも頂けるメニューがあり、茶をより楽しむことができる。
また茶楽のスタッフから生まれた「ほうじ茶プリン」は、ほうじ茶と生クリーム・牛乳・厳選された黒糖を使用。まろやかな口当たりで甘さは控えめ、口の中でほうじ茶が広がる。
茶道の世界は、「一期一会」とよく言われる。人は生きている限りを一期一会で過ごす・・・ゆっくりと過ごすひと時は、そのことに気づかせてくれるのではないだろうか。
「ゆっくり時間をかけてお茶の奥深さを感じ、そして茶の旨さだけではなく老舗・道後の歴史を感じ心穏やかに過ごして頂きたい」とスタッフは言われていた。
道後温泉のそばで心を安らかに過ごすことができる癒しの空間「茶楽」。日本の「食」を味わい、日本の「美」を感じる・・・それはまさに日本文化のもつ“わびさびの世界”ともいえる。
【茶楽】
住所:愛媛県松山市道後鷺谷町5‐13 山田屋まんじゅう道後温泉店内
電話番号:089-921-3588
営業時間:10時~19時
定休日:無
駐車場:無
茶楽HP:http://yamadayamanju.jp/charaku/index.html
【山田屋まんじゅう 道後温泉店】
住所:松山市道後鷺谷町5‐13
電話番号:089-921-3588
営業時間:8時~20時
定休日:無
駐車場:無
山田屋まんじゅうHP:http://yamadayamanju.jp/