2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。
甘味のスープは、松山の味
じっくり煮込んだチャーシューと甘味のスープの「中華そば 瓢華」。「甘味」というのは後を引きがちであるが、強すぎずなさすぎずというそのバランスがあり、松山のソウルフードの一つとして人気がある。
チャーシューは、愛媛県産媛ポークを使用。媛ポークとはみかんジュースの搾りかすを配合したJAオリジナル飼料で育った、筋繊維が細かく肉じまりが良い豚肉である。その媛ポークを12~13時間弱火で煮込んだチャーシューは、口の中で「とろっ」と溶ける。
豚の皮や九州の醤油などを使ったオリジナルの万年スープは、細麺に絡まる。「とろっ」ととろけるチャーシューは、丼ぶりからはみ出すほどの大きさ!
「瓢系ラーメン」と聞いたことがあるだろうか。松山市内にある「瓢」の字が付いた「瓢系ラーメン」は、「甘い」のが特徴と言われている。
中華そば 瓢華は、先代のご主人が友人の屋台「瓢太」の(故)堀本さんから教えていただき、古川町で「瓢太」として店舗を持たれていたが、当時肉体労働者や学生などのお客が多かったこともあって、スープの甘さを控えめにされたそうだ。元々の瓢太の味ではなくなったこともあり、清水町で「瓢華」と名前を改めて新たに開店。その後、松山市溝辺町に店舗を移転したが、平成25年春に閉店された。
その味を1993年から引き継がれているのが、湊町4丁目に店舗をもつ二代目・田中恒夫さんである。
元々長距離運転手をされていた田中さんは2~3年の修行後、松山市勝岡に店を持たれた。それまで包丁も持ったこともなかった田中さんは、最初は本当に大変だったそうだ。たまには親とぶつかることもあったとか・・・でもそのような中で、お客様に「美味しかった!」と笑顔で言われたその時の気持ちが心に残り、先代から引き継がれた「瓢華」の味を守っていこう、と思われたそうだ。
松山市三番町に移られて約10年、県外からのお客様も多くなったようだ。
先代からの味を守りながら、新たなことに挑戦。夏限定の和風ダシ「冷やしラーメン」や自家製スープの「冷やし中華」・焼きそばなど、メニューも増えている。
「ラーメンは、笑顔を見るための『モノ』である。笑顔で美味しく食べて頂けるように、毎日が修行です。」と話される田中さんは、仕事を楽しまれている様子が伺える中に、真剣にお客様のために美味しいものを作りたいという想いが伝わってきた。
【中華そば瓢華】
住所:愛媛県松山市湊町4-14-8 池内ビル1F
電話番号:089-921-7803
営業時間:11~20時
定休日:火曜日
駐車場:無
座席数:22席