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2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。

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人と環境にやさしいオリジナル立体パズルを制作するくた工房

松山IC近くの閑静な住宅街に工房があり、中ではオーナーの加藤さんが黙々と木を加工している。その姿は木と格闘している厳しいものではなく、木をいそしむようにまるで一緒に遊んでいるかのようだ。
その仕事部屋の横にある完成品のラックには加藤さんが仕上げた作品が幾つも陳列されている。魚を分解すると骨と身に別れる「おさかな2」やロボットと車に変身する「ロボジくん(変身型)」、バス・はしご車・トラックと変身する「自動車(変身型)」や坊ちゃん列車がモチーフの「坊ちゃん列車」など、3パーツの幼児が遊べるものから18パーツの高難易度のものまで、ここにしかないオリジナルパズルがところせましと並んでいる。
パズル 1 
パズル 4 
通常こういったパズルに使われる木は硬くて丈夫な朴(ほお)や桂の木であるが、加藤さんの使う木はヒノキ。
柔らかいヒノキを使うのは、木の香りや肌への感触がよく乱暴に扱えば壊れることもあるが、壊れても修理で直せることを知ってほしいので、あえて、無塗装の県内産ヒノキを使い、仕上がりは肌触りがやさしくあたたかいものになっている。
パズル 3 
昔、立体組木は、日本では江戸時代から智恵木(ちえぎ)と呼ばれ、寺子屋の教材として使われていたのが原型とされている。最初は具象的な作風のものが好まれていたが後に自然木の色や木目を生かした、抽象的なデザインが現在に受け継がれ、自然木の柔らかい美しさを抽象的造形でつくり上げる作風は空間デザイン世界からも注目されている。現在、小田原市の伝統工芸品として創始された「山中組木工房」や箱根町の箱根寄木細工「箱根丸山物産」が有名である。
そして四国では「くた工房」があるが、どちらにしても立体の組木を設計から作っているところは稀少と言える。
パズル 2 
「くた工房」の名前の由来は長男・拓さんの名前から決めたそうである。長男・拓さんが脳性マヒで四肢が不自由な為、介護が必要になったのを機に会社を退職し自宅の一室で作業を始めた。
加藤さんは、退職するまで農機具メーカーの設計の専門家であったことからその知識と経験を生かし、またお父様に教わった技術の知識を持ち合わせている自負から始めたのだが、当初はパーツが割れたり膨張して動かなくなったりと試行錯誤の連続であった。
しかし持ち前のコツコツ仕上げる性格から何度でも挑戦し、さらに完成した時の喜びを知るにつれ、季節や製作時間帯の湿度に応じてカットサイズを微妙に変えるという手法を自分であみだした。
そして2007年「はずして組む」立体パズルがオリジナルの機構と仕掛けの独創性の高いパズルとして第3回松山ブランド新製品コンテスト「NEXT ONE」優秀賞、2009年には1290個の正6面体を使い木の色の違いだけで絵をつくるパズル「森の木々の絵画」で「平成21年度、21世紀えひめの伝統工芸奨励賞」を受賞するまでになった。

その「くた工房」のこだわりは、図面設計から全てを手作り製作することで何処にもないオリジナルの組木パズルを作り上げていることだ。その製作の決まりとして、ひとつは組木が重なる中の部分に空間を作らないこと、もう一つは最後の一つをセットすると壊れなくなり、その一つを外さない限り解体も出来ないという。その2つの決まりを通過したものだけを、「くた工房」パズルとして販売している。また、組木の縁や角で怪我しないようにヤスリ掛けして、肌触りのやさしさを感じとれるようにしているという心遣いなど、使う人の身になって細やかな部分まで仕上げているのも特徴だ。
変形版 1 
現在は、職業訓練校からの依頼で講師をしたり、また病院からの依頼で家の形のパズルを柱の切り口の形に合わせてつくり上げるものや、片手でパーツを下から順に組み上げていくことで完成させるものなど、身体障害者や老人、子供の感性育成など、リハビリや指先の脳トレなどに使えるものもオリジナルで製作している。
加藤さん 
これから次の世代を担う子供たちにはプラスティックやビニールという人工的な物ではなく、ヒノキの木の香りを楽しみながら、木の質感を肌で感じ取ることで「力のかげん」を知り、たとえ壊れても直せることを知ることで物の大切さを学んで欲しい。そのことで、周りに存在する人や物の大切さや思いやる心を育(はぐく)むことが、今の大人たちの役割ではないだろうか。
棚 
商品は、「くた工房」でも直接購入できるが、看板も何もないので、行くのであれば前もって電話連絡をしてから行くのがベスト、中に入ると木の香りが迎えてくれる。
また、道後四国物産館「十五万石」(松山市)、「えひめの森林物語」(松山市)、ギャラリー「森の泉」(新居浜市)、「リトルポッケキクノ」(伊予市)、「くた工房」HPネットショップ(http://www.kutakobo.com/)などで購入出来る。

【くた工房】
住所:愛媛県松山市土居町1057-4
電話番号:089-957-2995
定休日:日曜日・祝日
くた工房HP:http://www.kutakobo.com/


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