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2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。

|文化・歴史

四国霊場第53番札所 須賀山 正智院 圓明寺

松山八ヶ寺の最後となる四国八十八ヶ所の第53番札所 須賀山 正智院 圓明寺は、人家に囲まれた町並みにあり子どもの声が聞こえてきそうな親しみを感じる寺です。

圓明寺

圓明寺

天平勝宝元年(749年)聖武天皇の勅願を受けて行基菩薩が、本尊阿弥陀如来像と脇侍の観世音菩薩像・勢至菩薩像を刻んで開基。創建時は和気海浜坂浪西山にあり「海岸山圓明寺」と称し、七堂伽藍を備えた大寺でした。後に弘法大師がこの地を巡錫した際、荒廃した諸堂を整備し四国第53番霊場とします。しかし鎌倉時代に幾度か兵火により荒廃、元和年間(1615〜24)に須賀専斉重久がその私財をもって現在地に再興。須賀専斉重久の名前をとり、須賀山 圓明寺と称します。

圓明寺

圓明寺

圓明寺の山門は本瓦葺の八脚門(やつあしもん)であり、室町時代作といわれ頭貫先端の木鼻の彫刻文様や造りにはその特長が現れています。再建時に手が入り創建時とは変容したと言われていますが、味わい深い趣があります。

圓明寺

山門から真正面にある境内中央にそびえる中門、そこをくぐると正面に本堂があります。その本堂内にある高さ約1m・幅4mの巨大な龍の彫り物は、欄間から頭を斜め下に飛び出し、躍動感に満ち溢れ凄絶で荘厳な魅力を放ちます。江戸時代初期に活躍した彫刻職人・左甚五郎作と言われ、妙技が物語ります。こころを見抜くような鋭い龍の目は、邪念を祓い参拝者をまっすぐな路に導いていることでしょう。そして本尊阿弥陀三尊仏像の両脇に侍立する観音・勢至の両菩薩像は鎌倉時代の作で、県指定有形文化財です。

圓明寺

圓明寺

圓明寺

山門をくぐり左にある大師堂の天上画は、色鮮やかで魅了します。また弘法大師像の右手の五鈷杵と繋がった手綱を握ると、弘法大師と縁が結ばれるとされます。この手綱は四国八十八ヶ所霊場開創1200年記念として、2015年5月末までされています。
境内には、鐘楼・門珠堂・閻魔堂・宮殿・観音堂・弁財天・納経所が整然と並びます。

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺

圓明寺は、寛永年間のキリシタン灯籠があることでも知られています。大師堂左の塀際にあり高さ約40cm、聖母マリア像を浮き彫りにしています。愛媛県内に「キリシタン碑」らしい存在は多く確認されており、隠れキリシタンがいたことは事実です。なぜこの圓明寺にあるのか、それは兵火により書物が焼け誰も事実を知るものはいないとか。ただ、真言宗である圓明寺で黙認し代々見守ってきたのです。そこには大きな心で、温かく優しく包み込んできたのでしょう。おそらくその心が、お接待として今もなお引き継がれてきているのです。

圓明寺

京都の樋口平人家次が奉納したという破損のない銅板納札(松山市文化財指定)が保存されており、現存最古で例のない銅板製(縦24cm・幅9.7cm・厚さ1mm)です。江戸時代の初期・慶安3年(1650)の銘があり、また初めて「遍路」の文字が記されており遍路の歴史を知る上で貴重な資料と言われています。この納札を発見したのは大正13年3月にシカゴ大学のスタール博士が四国遍路をしている時で、寺の本尊・阿弥陀如来像を安置している厨子に打ち付けてあり、札には「四国仲遍路同行二人 平人家次」と銘があります。樋口平人家次は、京都の五智山蓮華寺の伽藍を再興して、五智如来石仏を造立したことなどで知られています。

圓明寺

圓明寺から北西に高浜に向かう途中、免許センターから細道に入ったところに奥の院の海岸山圓明寺があります。元和10年(1615年)本堂再建後、跡地には小さなお堂がたてられ十一面観音菩薩を本尊とし奥の院としました。そして近くには地蔵と馬頭観音が祀ってあり、「和気の円明さん」として地元の方が大切に見守られています。

圓明寺

圓明寺

副住職の藤居陽一さんは、先祖が守ってきた寺を静かに受け入れています。和歌山出身の陽一さんは幼い頃、世襲を特に意識することはなかったそうですが、20代前半頃、その路に進まれることを決意し京都東山で修行されます。住職とは字のごとく「住む職」であり、お寺にいるという安心感が壇信徒の心の安らぎへと繋がるのでしょう。「檀家さんが寺を守っている」その言葉に深みを感じました。

圓明寺

そして四国霊場でもある圓明寺は、1200年という長い時をお遍路さんとも歩んできました。そしてお遍路さんへの接待は、今もなお引き継がれています。「接待はお遍路さんに受け取ってもらってこそ、初めて成り立つ。接待はするのではなく、させて頂く心なのである。」と言われていました。そのこころが、圓明寺のおおらかで包み込むような優しさとも言えるのかもしれません。

圓明寺

圓明寺

圓明寺

四国霊場第53番札所 須賀山 正智院 圓明寺
住所:愛媛県松山市和気町1-182
TEL:089-978-1129
駐車場:無料(普通10台・大型3台)7〜17時
宿坊:無

宗派:真言宗智山派
本尊:阿弥陀如来(伝行基菩薩作)
開基:行基菩薩
創建:天平勝宝元年(749)
真言:おん あみりた ていせい からうん

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