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2012年8月〜2015年6月の約3年間「瀬戸内・松山食べ巡りプロジェクト」で、取材撮影をした編集部によるレポートです。
事業期間終了と共に運営変更に伴い、「瀬戸内・松山 しまめぐり」の事業では更新することはありませんので、ご了承いただきますようお願いします。

|文化・歴史

四国霊場第50番札所 東山 瑠璃光院 繁多寺

淡路山の中腹にある第50番札所 東山 瑠璃光院 繁多寺は、静かな住宅街を通り小高い場所にある清楚で緑に包まれた寺です。松山の市街や瀬戸内海まで一望でき、魅力ある景観として景観樹林保護地区に指定され桜や紅葉の名所となっています。

繁多寺

繁多寺

山門からまっすぐに位置する本堂まで、地蔵堂や納経所そして弁財天と続き、のどかな景色を堪能しながら参道を進みます。

繁多寺

繁多寺

繁多寺

繁多寺

繁多寺

繁多寺

繁多寺は天平勝宝年間に孝謙天皇の勅願寺として、行基菩薩が開創した歴史ある寺です。その後、源頼義により再興、弘安2年には聞月上人が勅命を受けて蒙古来襲を退散させるための祈願を行います。また伊予の住人で平弘謙が新しく御堂を造り「光明院」と号し、弘仁年間に訪れた弘法大師が「東山 繁多寺」と付けたと言われています。後に皇室の菩提寺である泉湧寺住職快扇宗師が移られ、以後多くの高僧が往持するなど、盛時には末院が120ヶ寺にも及びました。繁多寺には、晩年の一遍上人が約3ヶ月滞在したという記録が残っています。一遍上人は松山市道後の宝厳寺の近所で生まれ、日本国中を歩いて浄土の教えを広めた方です。一遍上人により亡父・如仏が所属していた「浄土三部経」を奉納されましたが、兵火により焼失しています。

繁多寺

石段をあがると正面に本堂、右側に大師堂があります。本堂は1858年に龍厳宗師により再建、1960年に先代の丹生屋隆道僧生の発願によって新築されました。繁多寺の本尊は「薬師如来」であり、行儀菩薩作と言われています。薬師信仰は奈良時代から多くの人の信仰があり、現在も身心の病を癒そうとしている人々に不断の救いの手を差し伸べています。

繁多寺

繁多寺

繁多寺

繁多寺

鐘楼には江戸時代に山口県防府市の方が造られた鐘が現在も使われています。1876年の歓喜天童火災により古物書焼失した為、この鐘に刻まれた銘が寺の歴史を語る大事な資料となっています。1696年3月25日に法雲律師が願主となり、あらゆる人から百人ごとに丁銭陌文を集めて造ったと書いてあります。また「一銭不少万貫不多」「聚毛成裘」や国家の安全などを祈る文字は、その時代を表しているのでしょう。この時、鐘楼の天井部には江戸時代に作られた「御伽草子」の挿絵24枚が描かれました。

繁多寺

繁多寺

繁多寺

本堂の左側に毘沙門天と歓喜天堂が並びます。歓喜天堂には歓喜天像(正式名称は「大聖歓喜雙身天王」)が祀られ、親しみをもって「お聖天さん」と呼ばれていることから「聖天堂」とも言われます。繁多寺の歓喜天像は、徳川4代将軍家綱公の念持物3体のうちの1つであると言われています。祈れば富貴を与え、厄除け・夫婦和合・商売繁盛などのご利益があると言われています。

繁多寺

繁多寺

毘沙門天や歓喜天堂・弁財天など「天部の神々」であり、元々はインドの神様で仏教の守り神として取り入れられました。密教の成立と共にその数は増え、姿も様々です。

繁多寺

繁多寺

副住職である小林隆弘(りゅうこう)さんは、一般の大学を卒業後は東京の本山で修行、副住職しながら県立の世界史講師を約30年されていました。住職である父もまた教師であり、「寺に座っていても来られる方は限られている。学校には生徒がいて話す場がある。」その一言が隆弘さんの背中を押したそうです。仏の教えを学校で説くという訳ではなく、人として良いこと、いけないことを伝えられるのではないか・・・とそのような想いで教師をされていたと言われていました。長男として小林家に生まれ、何の疑問もなく住職と教師の路を進まれたと言う隆弘さんではありますが、そのままを受け入れる懐の深さが寺の閑寂さも繋がっているのかもしれません。

繁多寺

繁多寺

「何も作らない、いらないことはしない、簡素にしておきたい」その想いは住職の想いでもあると言われていました。「寺に来られた方が本堂で自然に手を合わせられる、落ち着いた寺にしたい。そのような場を提供するのが自分のつとめである。」と話します。

繁多寺

繁多寺

閑寂な境内には、多くのお遍路さんが訪れます。四国霊場1200年を迎えた2014年はお遍路さんが増えてきたとも言えますが、総数は減っているそうです。先を急ぐお遍路さんが多いなか、時々話す方もいると言います。「人が話そうとするとは、何かを聞きたい時と自分の話を聞いてほしい時の2通りがあり、その時々によって雰囲気を感じ取り対応するようにしている。」と言われていました。相手が何を求めているのか、自分は何が出来るのか、このような気持ちの隆弘さんだからこそ人は穏やかな心になり、再び繁多寺を訪れるのかもしれません。

繁多寺

繁多寺

繁多寺

四国霊場第50番札所 東山 瑠璃光院 繁多寺
住所:愛媛県松山市畑寺町32
TEL:089-975-0910
駐車場:無料(普通5台・マイクロバス1台・大型1台)
宿坊:無

宗派:真言宗豊山派
本尊:薬師如来
開基:行基菩薩
創建:天平勝宝年間(749〜757)
真言:おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

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